高島平で思い出した

 昨日、妻の車に乗って久しぶりに東京・高島平団地に行った。冬の季節には木々の緑も枯れているが、周辺には新しいマンションやビルがどんどん建てられている。大東文化大学に近い道路脇には、飲食関係の店が並んでいる。この団地の最初の入居者として、行くたびに変わっている姿を見るのは複雑な思いもある。団地住民は高齢化がかなり進んでいる。
 
 駅前通りの少しだけ西台駅よりに団地の間に小川があった。そこを通ったときに突然、昔の記憶が蘇った。先日年賀状をもらった大宮のMさんが、団地に住んでいた小生と彼の後輩のMさんをタクシーで送ってくれた。銀座から高島平へ、そして先輩はわれわれ二人を降ろして新大宮バイパスで大宮の自宅に帰っていった。そんなことが7、8回はあった。(当時、首都高は高島平まで来ていなかった)
 
 年齢もほぼ同じで近くの棟に住むMさんは兄貴分というか、大人の考え方ができる優秀な人物だった。タクシーを見送ったあと、当時、川べりに出ていた屋台でコッブ酒を一杯ずつ飲み、ラーメンをすすりながらMさんにいろいろな相談をした。深刻な話をすると、彼は少しだけ考えてからグラスを差し上げて、「まぁ、Qちゃん、明日考えることにしよう」と笑った。
 
 日曜日には毎月一回、二人で板橋区のアスレチックセンターで汗を流し、帰りにMさん宅に寄って冷たいビールをご馳走になった。彼はいま吉祥寺に住んでいて、年に一回ぐらいデートする。相変わらず小生が相談事をして、Mさんが極意の対応を示す。その間というか空気が心地よい。彼はある楽器に取り組んでいる。精神性の高い人なので、上達していよう。
 
そろそろ一回聴かせてもらいに出かけなければならない。木々の向こうの川べりを見ながら瞬間的にそんなことを考えていた。昨日の収穫の一つだった。