北海道人は寒がり―

   ことしの冬からガス暖房器にした。家人と二階の息子夫婦が相談して決めた。息子のところの孫たち二人が小さいので、やけどなど危険を避けるのが第一。第二は、これまで使っていた灯油の価格が依然として高くなっている。第三は、灯油を買いに行ったり、入れる手間が省ける。第四は、暖かさに膨らみがあるからだ。
 
 約1ヶ月経ったが、快適だ。設定温度を23度にしているが、その温度になれば自動的に消えて、室温が下がれば再起動するエコモードで運転。室温はほぼ24度に保たれている。ガスの配管などを含めて一階と二階で3時間ほどの工事をした。出かけるときは停止ボタンで消す。「ガス代がいくらになるか怖いけど便利だね」(家人)。
 
 今のように寒い時期に入ると、自分はよそのお宅にはほとんど入らない。一般的だが、この辺のお宅の部屋は寒い。若いときからそう思っていたが、年を取ってきたらなおさらそう感じる。多くの人たちが厚着をしている。暖房はコタツで十分だと、ほとんどストーブを使わない家庭すらある。自分はこれには耐えられない。
 
 「北海道人だから寒さに強いでしょう」と言われる。この言葉にすごく戸惑う。「反対なんだってば…。道産子は寒がりだから、食費を減らしても暖房費はケチらない」が正解だ。子どもの頃から自宅居間の温度は間違いなく26、27度以上あったはずだ。出かけるときは何か上に着ていくが、室内ではみんなわりあい薄着なのだ。
 
 子どものころ、吹雪の音が聞こえる夜は、それに負けない石炭ストーブのゴーゴーと燃える音が心強かった。ストーブが真っ赤になるまで「石炭くべれ(投げ込め、燃やせ)―」と大人たちが言った。ストーブの上にはヤカンか、煮物の鍋が乗っていた。イカの塩辛をストーブの上で少し焼いてホクホクのジャガイモに乗っけて食べたい―。