「大病と終活」

 昨日午後、かつてのクライアントだったK社長と10年ぶりにじっくり懇談した。今年夏にも仲間4人で会ったが、お互いの踏み込んだ話はできなかった。K氏は3年前にガンの大手術をした。小生は4年前に心臓手術をした。小生が体調不良になってから年賀状の付き合いだったのを、昨日の懇談でお互いにその溝を埋め合った。
 
 小生66歳、K氏65歳。平成元年に自分の会社を立ち上げた時、K氏の会社はクライアントの一社だった。お互い40代初めでフットワークを身上とする活動を行った。当時、ベンチャー企業が戦う最善の方策だった。仕事が終わった夜には、反省会をかねて杯を交わし明日からの活力にした仲間だ。ふたりとも若く、元気だった。
 
 そんな話から、お互いに交流できなかった10年間の経緯と現在の心境を語り合った。「大病は人間を変える」とよく言われるが、ツワモノK氏もかなり変わっていた。周りの人に心を配る糊代(のりしろ)が数倍も拡がったと感じた。いま「終活」をしていると告げた。時間を見つけて一人で、全国の寺社や祭りをまわっているという。
 
 K氏は「未知の世界を体験して、新たなパワーをもらうことも多い。それが生きる意欲につながっていく」と話したのが、印象的だった。寺社などは以前は聞かれなかった。最後に「でもね、旅先でも早く帰って仕事をしなければと思ってしまうんだよ」。やっぱり、経営者はそこから逃れられない。二人とも笑ってしまった。