「オレオレ電話」

 日曜日の夜、食事中に電話が鳴った。出るといきなり「Jだけど、」と若者の声がした。「えっ」と言ったら、もう一度「Jだけど」と言う。Jは私の息子の名前だ。息子はいま私たち夫婦と三人でおでんを食べている。「Jだけど」と私が電話の相手に言った。「えっ」と声がかすれた。もう一度断定的に「Jだけど」と言ったら、慌てて切れた。
 
息子は苦笑いをして、「必ず俺の携帯にかけて確認してね」と言った。家人は「日曜日だもの、自宅にいることも考えないのかね」と話した。とにかく電話をかけまくって、餌食を見つけるのが彼らのやり方なのだ。今回で息子を語る電話は3回取った。前の2回から類推すればどうやら高校時代の何かの名簿がながれているようだ。
 
今朝も朝日埼玉版に「狭山でオレオレ詐欺720万円被害」とある。81歳の女性が長男を名乗る男からの電話でだまされた。埼玉版には毎日のように、オレオレ詐欺事件が載っている。それにしても「Jだけど、」と言った声は自信たっぷりだったなぁー。