「スーパーニッカ」=「昴」

   かつて谷村新司「昴」をカラオケ十八番とする人がとても多かった。自分の知り合いにも何人かいて、歌うたびに「早く終わらないかな!」と思って聞いていた。自分自身は「昴」は決して歌わなかった。はっきり言って下手な人ほど感情が空振りして平板に聞こえる。難しい歌なのだ。下手な人の「MY WAY」と同じで長く感じる。
 
 この「昴」は聴くのは大好きだった。10年前にはほぼ毎日聴いていた。谷村はこの曲をあっという間に書き上げたという。だが、曲が広げる世界は壮大である。中国や東南アジアでもカラオケナンバーとして高い人気を維持しているのは、そうした理由かもしれない。確かな普遍性をもっている「名曲」として今後も残るだろう。
 
 「陽はまた昇る」も良く聴いた。「昴」より少し先に出された名曲だ。この曲があったから「昴」ができたと想像している。そして、「群青」につながっていく。谷村の曲想の流れだと思う。「昴」1980年から自分にとっては憧れの銘酒「スーパーニッカ」のCMソングとして全国に流れた。それもあって永遠の名曲になった。
 
 ニッカウヰスキー満を持して発売した「スーパーニッカ」は、大卒初任給が1万7000円当時、3000円という高価格。中身もボトルも凝っていた。年に1000本程度と少なく、幻のウイスキーとささやかれた。竹鶴は「スーパーニッカ」のボトル製作を、各務(かがみ)クリスタルに依頼したのだ。そしてあの芸術的なフォルムが誕生した。