「朝日・木村社長記者会見」

    昨夜の「朝日新聞・木村社長記者会見」をネットのライブ配信で1時間50分観た後、テレ朝「報道ステーション」を観た。企業の広報担当を生業としてきた者から言えば、予想よりも激しいものではなく、企業不祥事に対するマスコミの厳しい追及を考えればかなり複雑な感想を抱いた。時間が長かった割には、先送り感が残った。
 
 朝日、読売両紙の関係記事もチェックした。3点だけ述べておきたい。
 
      木村社長の進退についての発言は理解しにくかった。朝日は「杉浦編集担当取締役の職を解き、木村社長は改革と再生に道筋をつけた上で進退を決める」としているが、木村社長のリーダーシップ欠如がこの問題を複雑化した。潔く辞任して、新たなトップの元で「第三者委員会」など社内改革を立ち上げるべきだ。
      朝日は吉田調書をもとにした「命令違反し撤退」報道の記事を取り消し、社長が謝罪した。その理由として「原発社員への直接取材ができなかった、記者の思い込みや記事のチェック不足が重なった」と説明した。これは報道機関として致命的な誤りである。これまでもマスコミ誤報はあったが、その際厳しい批判を突きつけてきたのが朝日だった。裏付けがなければ調査報道は成立しない。
      吉田所長発言「よく考えれば2F(福島第二)に行った方がはるかに正しいと思ったわけです」を完全にネグレクトしていた。これでは「特ダネを仕上げる印象」と受けとめられても反論の余地はない。朝日の「デジタルで取り上げたが、新聞では削除した」は無謀ないいわけだ。悲しいほどだ。
 
 木村社長は「朝日新聞が独自取材に基づいて報道することがなければ、その内容が世に知らされることがなかったかもしれません」と発言し、今朝の一面でも書いている。いかにも朝日らしいプライドに満ちた表現だが、他紙の朝日間違い報道がなければどうなっていったのか。広報的な観点からしても愚劣な言い訳で大減点としか言いようがない。朝日の驕(おご)りを感じてしまう。
 
 
 
 最後に「報道ステーション」の古館氏のコメントには、腹が立ってきた。これまでとはコロリと向きを変えて朝日に対する批判と真摯な取り組みを求めた。「古館さん、貴君は一体何様なのか―」。まるで踊るピエロにしか見えなかったのは、老眼のせいだったのか。否。