映画「おろしや国酔夢譚」

 昼食後、BS‐TBSで映画「おろしや国酔夢譚(こくすいむたん)」を観た。学生時代か入社間もない頃、原作の井上靖によるこの歴史小説を読んでかなり感動したはずだが、内容はほとんど覚えていない。映画を観ていると、記憶が細々と浮かび上がってきた。
 
伊勢の大黒屋光太夫が乗組員16人と江戸に向う途中に嵐のため漂流し、アリューシャン列島の島にたどり着く。その後、ロシア人の協力もあって約10年後に帰国するという壮大なストーリーだ。光太夫役の緒形拳はじめ西田敏行、川谷拓三らが若い。1992年、封切り。
 
原作は光太夫からの聞き取りなどを基に書かれた北槎聞略を参考にしている。われわれの人生も一瞬一瞬にして大きく変わっていく。漂流をテーマにした歴史小説は「ジョン萬次郎漂流記」(井伏鱒二)、「海嶺」(三浦綾子)などがあり、映画化されている。いずれも観た。
 
昨日、宮城県沖で海難事故が起きた。気仙沼港を出港したタラ刺し網漁船が転覆、乗組員3人が行方不明になった。その後、1人の死亡が確認された。いずれも30代、20代と若く、一人は漁師になりたてだったという。海難事故のニュースは辛い。親や家族の痛みは孤独だ。