「年寄りがなんで中国の大学に?」

 中国・西安に戻ったTさんからメール届いた。中国語学習は、一時帰国で遅れた分をクラスメートがノートを貸してくれたり、補習をしてくれたりと助けてもらっている。各国からの留学生仲間ともかなり親しくなり、楽しい「学生」生活を送っている。彼らの日本への興味は驚くほど強く、「サヨウナラ、コンニチハ、コンバンハ」などの挨拶言葉はフランス人やシリア人、韓国人などが知っている。「ワンピース」のアニメを15歳から見始めて、最近750話まで見終わったという韓国青年もいる。そんな読んでいてうれしくなる報告だった。
 
 今年春に留学申請した時に、大学側から詳しくその動機や理由を問われたという。「70歳にもなるのに、なんで入学したいのか? その年になると老人は隠居して椅子で日向ぼっこをしたり、仲間と雑談したり、マージャンなどでゆったり過ごすのが普通なのに、なぜ貴方は勉強したいのか?」。そんなことを執拗に聞かれたらしい。日本語学校生徒の実家に招待されていくと、田舎の年寄りたちはのんびり生活していたそうだ。Tさんの中国語への情熱が誤解されそうだったが、大人(たいじん)の彼は一つひとつ熱心に説得したらしい。結局、入学許可された。
 
 先日二人で北坂戸駅近くを通ったとき、ある建物の前に20人余りの外国人の若者たちが溜っていた。東南アジア系や中東系の顔つきをしていたので、Tさんに「なに、これ?」と問いかけた。「ここは日本語学校だよ。その生徒たちだ」と教えてくれた。こんな場所にあるとはまったく知らなかった。こんなに多い外国の青年たちが坂戸市内にいるのを初めて見た。この周辺の工場で働くつもりなのだろう。驚いていると、Tさんが「中国のでない、日本の中華料理を食べに行こう」と言った。一緒の時は彼はいつも中華料理だ。中華料理は奥深いのだ。