高倉健・「駅 STATION」

 高倉健主演「駅 STATION」(1981年)を土曜夜、NHK・プレミアムで観た。かつて観た映画だが、チャンネルを合わせた。留萌、増毛、雄冬岬、砂川など北海道の当時の街並みと各駅、そして、日本海の荒れる風雪の場面があるから。それにもう一つの契機が。その朝、「どうしんweb」で次の記事を読んだからだ。
 
   《【留萌】JR北海道が2016年度中の廃止方針を示している留萌線の留萌―増毛間について、留萌市議会が市民対象に行ったアンケートで、「廃止は当然」と「廃止はやむをえない」の廃止容認派が79・8%に上った。一方、自由記述では留萌―深川間の廃止を危惧する意見が目立った。「留萌―増毛間を利用しているか」では、「いつも利用」「時々利用」が合わせて10・6%の一方で、「ほとんど利用しない」が88・7%に上った。「廃線になると地域経済に影響が出るか」との問いには、「ほとんど影響はない」が30・3%で、「大きな影響が出る」の10・1%を大きく上回った。》
 
 健さん演じる主人公は増毛町からさらに定期船で行く雄冬の出身。陸の孤島で大昔の郷里・古平町を思わせる。画面に映る増毛の港は古平港に良く似ている。増毛で知り合った健さんと桐子(倍賞千恵子)は映画を観に留萌まで出る。もっとも近い都会が留萌なのだ。その留萌―増毛間のJRが廃止検討されている。
 
 映画では増毛駅留萌駅、砂川駅、上砂川駅を舞台に人生の悲哀が描かれる。最初は函館線・銭函駅での妻・順子(石田あゆみ)との別離の場面だ。増毛駅前の風待食堂のすず子(烏丸せつ子)が狂言回しの役に当たる。すず子の兄が捕まる上砂川駅を始めすべての駅の場面が悲しい。ラストシーンの辞職願を焼いた健さんと、札幌に向うすず子にかすかな出発を感じる。
 
 この映画の脚本は倉本聰で、その後、倉本はテレビドラマ「昨日、悲別で」で上砂川駅をロケ地とした。1984年(昭和59年)に放映された。これも胸が痛くなるほど切ない物語だった。彼は北海道の人間をとても上手に描く。
 
 厳冬の晴れた日、古平の浜から真っ白な雄冬岬が水平線の向こうに見える。北海道日本海の町々は同じ風音と波音を聞きながら生活しているのだ。映画では八代亜紀の「舟唄」がたびたび流れた。「肴はあぶったタコがいい♪」、正解はイカ