春到来の兆し

 「チカ」を何十年ぶりに見た。ワカサギに似た海の魚だ。郷里の妹が送ってくれた「ゴッコ(布袋魚)」の横に入っていた。大きめのが20尾余り。今晩食べるのに半分を冷凍庫から出した。塩焼き、フライ、天ぷら、どれも美味しいがフライにきめた。
 
 春に産卵するので今が旬。子どもの頃はチカ釣りに古平港岸壁に行った。弟と従兄弟は釣り好きだったから、三人でそれなりの数を上げてきて汁物に入れたリ、天ぷらにしてもらった。10~12㎝ほどだが、群れてて狙いやすかった。
 
 そんなことを思い出しながら二匹の猫にリードをつけて日光浴させた。16歳と15歳だが、まだ老いぼれではない。室内ではそれぞれが温かい場所に陣取っている。猫は現在だけに生きる。条件反射は犬よりも敏感。「戸を開けろ」などと猫語を話す。
 
 水仙の葉が伸びてきた。青緑色が初春の陽光からエネルギーを吸収している。じきに黄色の花がひらくだろう。「七つの水仙」。家人手製のビニールボックスの中で豆が小さな白い花を咲かせている。厳寒を潜り抜けて命をつないだ。