「グループシンク(集団浅慮)」

 「グループシンク」が日本を滅ぼす、昨日の朝日新聞読書面に紹介された「規制の虜(とりこ)」(黒川清講談社)のサブタイトルだ。その前日読んだビジネス情報誌「エルネオス」の元木昌彦対談で黒川氏が発言している。「自分で考え、発信できないジャーナリストも『大日本病』患者」と述べている。黒川氏は福島原発「国会事故調」委員長を務めた。
 
 グループシンクとは意思決定パターンで、大企業、役所など同質性の高い組織では異論が出にくく、周囲の顔色を窺ってみんなの意見に合わせようとする。日本人が誇りに思っている国民性が、致命的な欠陥に他ならない。そう指摘している。責任を他人のせいにする日本人の弱さがあるとして、具体例に福島原発事故が人災だったと断じている。
 
 黒川氏の発言は、日本人論になっている。ジャーナリストへの警告は厳しい。朝日が先月下旬から「教えて! ニュースキャスター」でテレビ各局のニュースキャスターへのインタビューを連載している。NHK「nw9」の河野憲治氏、日テレの村尾信尚氏、テレ朝・富川悠太氏、TBS・星浩氏など登場したが、権力監視を明示したのは星氏だけだった。
 
 マスコミが萎縮しているかどうかは分からないが、毒にも薬にもならない「今後は注目する必要があります」や、あえて中立を際立たせる発言だけでその席にいるのなら、ニュースキャスターではない。わたしはそういう見方だ。自らの所見も伝えながらやらないと、アナウンサーの司会・進行と変わらない。国民に考えさせる発言で司会・進行することを望みたい。