「○○ファースト」

 トランプ米大統領候補は「アメリカファースト」と叫び、小池都知事は「都民ファースト」と言う。このところ「アスリートファースト」の言葉も聞かれる。「〝ファースト〟ワード」の大安売りだ。国民・都民の「正義」(カッコつき)にもとづく「ワンワード」だ。
 
 これらの言葉を否定することはむずかしい。「わたしは人間が好きだ」に真っ向から否定できないのと似ている。しかし、これらの物言いにはもろ手を挙げて賛成できない。「○○ファースト」の周りには落とし穴がありそうだ。動物的カンがそう感じる。
 
 ヒラリーもトランプも、安倍首相も蓮舫民進党代表も、政治家の傲慢な自己満足の演説で、古今東西変わらない。このところの自己中心的な風潮は耳に余る。覇権国家の指導者と変わりないほど慎みを失っている。真の言葉の力が弱められていく。