「ゴッコ(ほていうお)送るから」

「明朝、ゴッコ送る。日曜日に着くよ」、この電話で少し元気が出た。今週初めから体調不良で、水曜日から点滴が始まっている。厳冬期に体力が消耗されて、なんとも不快な日々を送っている。その停滞感を打ち破ってくれるのが、北海道・積丹町の妹夫婦が送ってくれる魚だ。ゴッコ(ほていうお)はコラーゲンの塊で鍋にする。
 
お正月に「ゴッコが手に入ったら送って」と頼んでおいた。妹は昨夜、「ずっと時化(しけ)で、ようやく父さん(義弟)が漁師さんから分けてもらった」と話した。天気情報で積丹半島日本海の低気圧に覆われ、いつも暴風雪のマークがついていた。寒中の1月下旬から2月初めに、ゴッコは産卵のため深海から浅瀬に移動する。
 
うろこがないつるつるの深海魚で、奇怪な形をしている。腹にはぎっしりと卵が入った袋がある。それを取り出し、身を各部位に分けてきれいにして冷凍便で出してくれる。感謝、感謝。「ことしのニシンも少し入れておくから」(妹)。もうニシン(春告魚)が群来(くき)る時期なんだ。こんな厳しい時期に魚たちは生を受ける。