「骨折り損」

  映画「マラソンマン」を観る。NHKプレミアムで放映。観たかった映画だが、封切り当時は若かったので仕事に追われ、ノミに忙しかった。D.ホフマンは当然、ローレンス・オリビエの演技も観たかった。演技派両雄の競演はぜいたく感さえある。
 独・ナチ絡みの展開はいくつかの映画でもあるが、サスペンス映画として太い導線があるので、安心して観られた。サスペンスを安心して!!というのも可笑しいか。ローレンス・オリビエはシェークスピア劇俳優でもあり、役をこなし切る。
 学生時代に英語科の二年有志でシェークスピア劇をやろうと決めた。「恋の骨折り損」という作品で、まとめ役を引き受けた。女性たちがイギリスからLPレコードを取り寄せ、みんなで発音練習した。オイラの役はとろいロンガビルだった。
 女子大講堂など会場手配にも当たったが、結局、上演はできなかった。秋に予定していたが、夏ごろから学生運動がますます激しくなってメンバーも集中力を欠いてきた。喫茶店で解散式を行ない、大きな夢は「骨折り損」に終わった。