大岡信逝く

 詩人・大岡信が昨日亡くなった。それからずっと考えてきたが、今朝の読売、朝日両紙の取り上げ方をみればこの人の秀でた評価がよく分かる。わたしにとって大岡信ユリイカであり、青春の神々の偉大な一人だった。
 この詩人のペン先はするどいエッジになっていて、切り取られた感性が言葉になった。初めて読んだとき、背中の血管が稲妻に打たれた。そのときから青春時代の神になった。濃紺のスーツを着こなした彼が演壇に上っていくのをみつめていた。
 東京に出て行こう、そう決めたのは大岡信がいたからかもしれない。わたしは企業経営にかかわる執筆を行ってきたが、上京時は地道に研鑽して、ユリイカや詩のH氏賞の側で生きたいと野望があった。が、いつか経営ライターになってしまった。