師走半(なか)ば

 おとといは母の命日だった。前夜10時過ぎ弟から小樽の病院に運ばれて危ないと電話。朝早く家族4人でオリオン座の下を駅まで小走りした。羽田に着いたら「ダメだ。家に連れて行く」との連絡。身体が脱力したが「よーし」と声を出した。
 
 過去の記憶はしだいに角が取れていく。羽田-新千歳―小樽―実家までの記憶が飛んだ。寒い日で晴れていた。新千歳空港の連絡通路で同級生の札幌・Kくんが東京に向うのとすれ違った。「カズオ、どうした」、彼が声かけてくれた。
 
 Kくんもその一人だが、人生の節目にかかわっている人物が何人かいる。それらの人々のおかげでこの齢まで生き延びてきた、ともいえる。大事な友人たちは自分の鏡でもある。彼らのほうがわたし自身の正体を知っている。
 
 「うぬ惚れてはいけない・・・。祖父母の命日の日はとくに気をつけてね」。母は折に触れて教えた。その意味が最近少しずつ理解できるようになってきた。亡き父母、ふるさとの友人たち。6回目の年男になるが、心豊かな新年にしたいと願う。