新たな出発

早稲田大学総長が入学式で「たくましい知性を鍛え」、「しなやかな感性を育む」よう式辞した。新聞で読んだ。この表現に深く共感した。たくましい知性とは正解のない問題への挑戦であり、しなやかな感性とは異なる文化や価値感と多く接することだという。自らいま一度噛み締めたい。
 
今月に入って年一回の定期検査が続いている。心臓エコー、下肢血管エコー、骨密度検査などで月末に腹部エコーをやって終わる。いまのところ去年とあまり変らないとの結果が出ている。もちろん若干の劣化はみられるが総じて大きな変化はみられないとの診断だ。ひとまずホッとしている。
 
そんな話をTさんに報告しながら自宅すぐ近くの大智寺の桜を見上げていた。Tさんが写真を撮り始めた。「今年いちばんの桜の写真になりそうだ」と彼はご機嫌。見事な桜の樹々に最期を迎えた花々が満面に咲いていた。「久末さんも撮るから画面に入って」、遠慮した。エネルギーが吸い取られそう。
 
翌日から台湾旅行にでかけるTさんの計画をランチの時に楽しく聞いた。体力薄弱の自分の手足や目・耳になって外の世界に連れ出してくれる。Tさんの親切には頭が上がらない。たくましい知性としなやかな感性の成長も自立しなければ間接的になる。制約の中での生きざまは揺れている。
 
知り合いの奥様がきょう入院、近く大きな手術を受ける。友人の一人も具合が良くなく不調だ。皆がそれぞれが自らの制約を抱えながら懸命に生きている。自分は体が悪くなって初めて分かったことも多い。友人たちのために早期回復を祈る。教会できのう受難週礼拝が行われた。21日はイースターだ。新たな一歩を踏み出す。