ライラックの香り

 札幌の妹にわが家の白バラの写真を送り、「ライラックが懐かしい」と書いた。「ライラックはもう満開のところもありますよ」との返信。北の地はライラック(リラ)、アカシアなどいっせいに花が開き、大通公園はほのかな香りで満たされる。
 
 雪国人はこの時期に希望を抱いて厳冬に耐えてきた。これから街はお祭りつづき。北海道神宮祭、よさこいソーランまつりも近く始まる。以前、二年続きで「よさこいソーラン」を楽しんだ。躍動する若者たちの演舞は感動的ですらある。
 
 青春時代を過ごした札幌の街は現在の半分ほどでまだ学生に優しかった。藻岩山下からススキノ、札幌駅まで市電や早足で歩き回った。この季節に息を吸うとアカシアやライラックのやわらかな香りが重なった。若さゆえの光と影。
 
 取材で飛び回っていた頃、この時期に北海道特集が組まれて担当を買って出た。金曜まで仕事をして日曜日の夜遅く東京に戻った。いま旅行会社から届くメルマガを眺めながらあの頃の気分に浸(ひた)る。ワンスモア・サッポロ、again!!