ユーミン「春よ、来い」

昨夜、テレビから突然、懐かしい声が流れてきた。画面を見ると、飛行機が小さく自由に飛びまわっている。ユーミン松任谷由実の「春よ、来い」(YouTube 松任谷由実)で、最後の最後にANAと出た。CMは1分ほども続いたように感じた。テレビ東京の「アド街ック天国」と「美の巨人」の間だったと思う。「春よ、来い」は、1994年平成6年)10月3日から翌1995年9月30日まで放送されたNHK・朝ドラで、テーマ曲をユーミンが担当した。
 
実は、小生はユーミンに会っている。女性向け商品企業数社の広報担当者を対象にした記者会見に、日用品メーカーの社内報担当者として出席した。1994年10月半ばに、溜池の東芝EMI本社で開かれた。彼女は最低限の化粧しかしていない感じで、普通のジーンズ姿のまま気軽に現れた。そして、一人でわれわれ取材陣のテーブルの前に座り、質問には丁寧に答えつづけた。もう20年近くも前になる。
 
当時の社内報を本棚の隅から引き出して、自分の書いた記事を見てみた。「私の曲づくり――好奇心をいつも絶やさずに時代と歩く」とタイトルをつけている。「今度、『THE DANCING SUN』という26枚目のアルバムを出します」で始まっている。この中に「春よ、来い」が入っているのだ。
 
ユーミンは会見の中で、
「コンセプチュアルな時代は終わったと思うんですね。乱暴な言い方をすればバブルの崩壊とともにですが・・・。何かを提示したらみんなが一つの方向を向くというのは、もうないと思うんです。おたくのメジャー化といいますか」、「好奇心が元から強いので、それを衰えさせないようにしようということです。フットワークを軽くし、ちょっとでも面白そうなところには気軽に出かけています」、「人が集まっているところには、それぞれが発しているエネルギーがあるんですよ。これは感覚的なことですが、作品をつくるときにそれを無意識に生かしているところはあると思います」ーなどと語っていた。