面人類、線人類、点人類

池袋の居酒屋「松風」でのA氏との懇談は、多くのことが話題になった。その一つが、彼がいま大学で教えている「コミュニケーション」についてであった。小生も広報マンとして40年、コミュニケーションを第一に課題として取り組んできたからだ。コミュニケーションの成立にはコアになる共通項が必要である。その基本は情報と信頼関係だ。
 
彼は言う。「3種類の人類がいる。面人類、線人類、点人類だ」と。面人類とはFace to Face、対面を基本とする人である。線人類とは電話を活用する人。もう想像がついただろうが、点人類とはドット、つまり、インターネットを駆使する若い世代の人たちだ。
 
我々旧世代の時代には「足で稼げ」という言葉があった。「とにかく人と会え、人と話をしてこい」と先輩からどやしつけられた。お互いに唾のかかる距離で話ができる友人を多く持て!という意味である。これが基本で、人間形成の底辺になる。その上に、電話を使った情報交換、さらに上にインターネットによる情報収集とがピラミッド型を構成している。その構造はいまも変わらない。
 
「最近の若者はそれが逆になっている!!」。学生を相手にしていると、そのように痛感するという。人間理解には底辺である面の拡充が大事で、それがなければ情報の真偽の判断すらつかないのだ、と指摘した。そして、彼は続けた。「2種類の人間がいる。『やっぱり人間』と『まさか人間』だ」。自分の人生、次の瞬間に何が起きるか分からない時代。失敗を多く経験した「やっぱり人間」の方が「まさか人間」よりはるかに強い。今の時代では「まさか?!あの人が」が多すぎる。そう締めくくった。