猪瀬都知事、「謝罪」

   猪瀬東京都知事は自らの「不適切発言」を認め、昨日、「イスラム圏の方に誤解を招く発言であり、申し訳なかった。謝罪する」と述べた。この日、知事は「不適切な部分は認め、これでおしまいにしたい」と漏らしたという(今朝の朝日2面)。前日には「私の真意が正しく伝わっていない」と反論していたが、NYタイムズ側が「インタビューの録音があり、記事に自信がある」と発表したため、一夜にして「一転謝罪」になった。
 
 今朝の日経「春秋」は「緊迫した接戦、あまりに手痛い主将のオウンゴールではないか」と書き出している。読売「編集手帳」、毎日「余録」もこの問題を取り上げている。このNYタイムスのインタビューは、なんと都側が申し入れて、訪米中の16日に実現したものだという。インタビューの終盤でこの「失言」は口から滑ったが、猪瀬知事も彼の側近もまったく無防備であったようだ。
 
 昨日も書いたが広報的にいえば、NYタイムズは概して日本に厳しい論調で知られている。尖閣問題でも中国サイドの全面広告を掲載して話題になったこともあった。猪瀬知事は言葉で生きてきた作家でもある。こんな軽薄な発言で足元をすくわれては、誘致側は身も蓋もない。普段のマスコミ対応をテレビで見ていても、どこか傲慢さが透けて見える。仮に都庁クラブでそれが通じていても、国際的には通じない場合もあることを痛感したはずだ。
 
 しかし、彼はこの失言を受けて、「これから招致活動には、この反省を踏まえることができる」と語った。まだ、目が覚めていないようだ。この失言をめぐる問題はIOCなどで尾を引き、「これからのPR活動」に大きな制約となってマイナスに働くだろう。PR活動は受けに回ったら選択肢はきわめて少なくなってしまう。「これでおしまい」、「早く収束させる必要があった」との都側発言は非戦略的で背筋が寒くなる。