猪瀬都知事の「NYタイムズ」発言

猪瀬直樹東京都知事が虎の尾を踏んだうえに、地雷までも踏みそうになっている。仕掛人は、米ニューヨークタイムズ紙だ。
 
昨日から今朝にかけてNHK、マスコミ各紙は「NYタイムズ2020年夏のオリンピック招致をめぐる猪瀬都知事のインタビュー記事を掲載し、知事がほかの立候補都市を引き合いに『イスラム諸国はけんかばかりしている』などと発言した」と報じている。IOC国際オリンピック委員会の行動規範は、ほかの立候補都市との比較を禁じており、同委員会は「すべての候補都市にルールを守るよう強調したい」とする声明を発表した。
 
「禁じられている他立候補地との比較」を語った上に、「イスラム批判を行った」と伝えられる。この報道を聞いた瞬間に「問題が急速に複雑化して、拡大していく」悪い予感がした。猪瀬氏側は昨夜、「真意が正しく伝わっていない」とのコメントを出したが、NYタイムズの既報を払拭するのはかなり難しい。それに、言ってはなんだが「猪瀬ならヤッパリ言いかねないよネ!!」との感すら抱くからだ。「マサカ、猪瀬が言うわけがないだろう」ではない。
 
最近のNYタイムズの発行部数は159万部。(紙が78万部、電子版が81万部となっていて、全米で第3位)。2大全国紙ウォール・ストリートジャーナルは212万部、USAトゥデイが181万部だ。だが、NYタイムズは一般紙としてはワシントン・ポストと並んで著名な新聞で、地方紙ながらも米国を代表するメディアとみなされている。
 
ニューズウィークは、NYタイムズの報道姿勢について「同紙が日本関連の記事を書くときは、いつも好意的に書かないのに決まっている」と評している。今回のNYタイムズ記事は、猪瀬知事が「スキをつかれた記事」では済まない大きな波紋を含んでいる。取材対応の準備はできていたのかな??疑問だ。