「サヨナラだけが人生だ」

   「サヨナラだけが人生だ」という言葉がある。この言葉をかつての「週刊朝日」名編集長・扇谷正造氏は「一期一会」であり、「わが良友と思え」と我々若手に教えてくれた。正直な話し、当時はピンと来なかったが、最近になって良く理解できるようになってきた。
 
 唐代・会昌の放浪詩人である于武陵(う・ぶりょう)の詩「勧酒」を、井伏鱒二が次のように口語訳している。
 
 「コノサカヅキヲウケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトエモアルゾ 『サヨナラ』ダケガ人生ダ」
 
 社会人になって間もない頃、会社の顧問であった扇谷先生が我々新米に諭(さと)していたのだ。「君たちは人と会うのが仕事そのものなのだ。だから、人と人の出会いを大事にしなさい」。それから40年も経って、ようやく真意を理解できるとは―。おそい歩みだなぁ~!!
 
  今朝、友人のTさんが中国・西安に戻っていった。再会を期する。