朝日「クール便」報道に思う

今朝、朝日一面トップの「クール便 常温で仕分け~ヤマト運輸8月、荷物27度に」の文字が目に飛び込んできた。「抜いたな」と直感して、他紙を見たがその記事はなかった。「同社関係者が今秋に撮影した動画を朝日新聞に提供した」と書いてある。「まさか」と「やっぱり」が交錯してため息が出た。
 
 そして、「またか」である。先日の「阪急阪神ホテルズによる料理メニュー偽装」報道が続く中での内部告発だけに衝撃的な印象を与える。「このメニュー偽装の件も内部告発だ」(食品関係者)という。
 
今朝の日経「春秋」は【どこからが「嘘」となり、どこまでを「マーケティング」と呼べるのだろう。買い手が笑顔で満足なら、それでよいともいえる。けれども白を黒と呼べば罪である。「メニュー偽装」を犯した阪急阪神ホテルズは消費者の基準を、ずいぶん甘くみたものだ。▼慌ててメニューを書き直しているレストランが、どこかにあるのではないか。急に産地を書かなくなった店は、疑うこととしようか。「成功の道は信用を得ることである。どんなに才能や手腕があっても、平凡なことを忠実に実行できないような若者は、将来の見込みはない」。阪急電鉄の創業者、小林一三の言葉である。】
 
クロネコヤマトの成功」は現代の企業伝説になっている。食品流通で社会革命を起こしたといわれるほどだ。同社がここまで認められてきた苦労も神話のように語られてきた。その栄光が今の時代、一瞬にして萎んでいく。「食品」ゆえの怖さだ。組織の成長・成功と同時にその衰退要因も膨らんでくる。
 
クロネコ・クール便」は我が家でもかなり利用する。これからも利用する。いま一度、作業工程を見直して、告発動画を新聞社に提供される余地がないほど立派な会社にしてほしい。「春秋」の指摘するように「消費者の基準をあまく見てはいけない」。それが企業革新の原点だろうと思う。