「歯が折れるようなうどん」

 今朝のNHK朝ドラ「ごちそうさん」で、め以子と悠太郎が屋台でうどんを食べる場面があった。これを観ていて、かつて大阪の知り合い・Nさんが放った一言を思い出した。当時、讃岐うどんが全国的に賞賛され始めた時期だった。「あんな歯が折れるような硬いうどんは、食べられたものじゃない」。
 
 彼に同行してきた若手がこっそり私に告げた。「Nさんの実家はうどん屋さんなんですよ」。なるほど!!大阪のうどんは硬くはない。大阪人の食に対するこだわりは半端じゃない。今朝のテレビで、あのときのNさんの真顔半分・ツッコミ半分の大阪弁を思い出したのだ。たしか自分は曖昧なゴマカシ返事をしたような?!
 
 上京して入社した会社は新橋にあり、駅に向かう途中に「玉藻」という讃岐料理の店があった(今もあるらしい!!)。週に一、二回先輩たちと一緒にお昼時に入って、うどんを食べた。出汁(だし)は薄味でトロロ昆布が浮いていた。座敷席に6、7人座ってクライアントの話から上司の噂まで、にぎやかな昼休みだった。
 
 「一杯のうどん」がとりあえず昼コミュニケーションで、その雰囲気で夕方の飲み会場所が決まった。店を出て、斜め向かいの「チロル」という狭い喫茶店にそのまま移動した。程好い美味しさのコーヒーを年配のママさんが入れてくれて、今度は「密談」が交わされた。
 
――あぁ、鍋焼きうどんが食べたくなってきた。