ミックスジュース、フルーツ牛乳

 読売「時代の証言者」に桂文珍(64)が今日から登場。「なんばグランド花月(NGK)」との関わりからスタートした。昭和23年生まれだから同世代だ。吉本芸人としてやはり独自の芸風をかもし出す。語りおろしを読んでいて、ふと目が止まった。
 
「大阪・ミナミは懐かしい町です。路地を入れば私好みのうどん屋があるし、昭和を引きずったままの喫茶店で飲むミックスジュースの味は何十年も変わりません」。この「ミックスジュース」に反応してしまった。あったなぁ~、飲んだなぁ~!! リンゴやミカン、バナナの香りが混在して、少し牛乳色をしていた。喫茶店のカウンターにあるミキサーで作ったのが運ばれてきた。
 
甘酸っぱい青春前夜の思い出として記憶されている。その後、しだいにほろ苦いコーヒーを飲むようになってから、注文することもなくなったのだ。あのいろいろな味が混じったジュースを飲むと、いつも口の中が喜んだように感じた。
 
昨夜のNHK「歌謡コンサート」で、瀬川瑛子(1948~)が「温泉で、氷で冷やしたコーヒー牛乳やフルーツ牛乳を3本も飲んだ」と例によってのっそり話していた。そうなんだよ、フルーツ牛乳なんだよ。夏に行った立ち寄り温泉にはコーヒー牛乳はあったけど、フルーツ牛乳はなかった。
 
  昔、父が沖から戻ると、弟と三人で必ず銭湯に行った。父は漁師の仲間たちと懇談・情報交換した後、いつもフルーツ牛乳を買ってくれた。弟とビンの丸い紙のふたを外して、競争しながらゴクゴク飲んだ。あのフルーツの香りは何だったのだろうか? いま残る、甘酸っぱい感傷―。