《配偶者・親の死をストレス強度100》とした場合、

 今朝の朝ドラ「ごちそうさん」は、関東大震災で大阪まで避難してきた東京の女性が絶望に打ちひしがれている場面だった。め以子の親切は拒否されている。サンマを焼く匂いで、明日から状況が変わりそうだ。そんなことはどうでも良いが、深い悲しみの淵にある人に心を寄せて癒すことの難しさは予想以上なのだ。ドラマはそのことを考えさせる。
 
 先日、テーブルの上に家人が読みかけの「グリーフケア(伊藤順三著、雄峰舎)がおかれていた。グリーフとは深い悲しみ、苦悩のこと。「心の痛みに寄り添う」と副題が着いている。医師であり、キリスト教牧師である著者が、「がん患者のグリーフケア」、「被災地のグリーフケア」などについて述べたもの。最初の方の興味深い一覧表に目が止まった。
 
 「《配偶者・親の死をストレス強度100》とした場合の点数」で、さまざまなケースのストレス強度を数字化している。《家族の一員の死亡 91》《自分の病気 71》《離婚 69》《交通事故 68》《解雇・退学・落第 64》《多額の借金 64》《家族の一員の病気 62》《能力以上の責任 61》《別居 58》《友人の死亡 57》《家族の不和 57》。これらが55以上。目安になる。
 
 もう一つ思い出したことがあった。芥川龍之介の短編「三つの宝」で、妹尾河童(せのうかっぱ)の自伝小説「少年H」に紹介されていた。自分が正しいと思い込んで行動しても、真実はまったく逆のことがある。芥川は人生の逆説を述べている。人生いろいろ、人との付き合いは最上の喜びでもあり、最大の悲しみにも通じる。それでも生きていく。