「お節料理」

 「おせちってなんやと思う?」、今朝の朝ドラ「ごちさそうさん」で近藤正臣演じる「師匠」が、め以子にそう問いかけた。首をかしげる彼女に「考えておいて」と師匠は言う。料理店の主人が「おせちとは願いの料理や」。一品一品に家族の健康や商売繁盛などの思いをこめた料理だと教える。まさしく関西の食文化を象徴している。
 
 数の子は子孫繁栄を、昆布巻きは喜びを、海老は腰が曲がるまで夫婦一緒にを、栗きんとんは黄金を表している。関西ではまだ季節の決まりごとに合わせた食の決まりごとを大事にする文化が残っている。季節の節日、節句に食べる料理からきているが、正月は一年で最も大事な節句なのでお節料理となったという。
 
 ケチで有名な大阪商人だが、お節料理は豪華だという。お歳暮もケチらないどころか、値が張って格のある商品を相手に贈る。今年も大阪市中央卸市場で一番札をつけた「井原水産(ヤマニ)数の子」(数の子 - 井原水産)が売れている。テレビニュースでも報じているが、価格が少し張っても質の高い商品が売れ筋だ。大事な人に本物を贈ろう。来年こそは本格的な景気回復を期待したい。
 
 そうした庶民の願いのもう一つの象徴が、初詣の賽銭(さいせん)だ。賽は「神から福を受けたのに感謝して祭る」の意。祈願成就のお礼として神仏に奉納する金銭だが、今年受けた福と来年の望みが大きい割りにけっこうケチっている人多くない?! 元は金銭ではなく米などを供えたという。バブル時は万札が乱れ飛んだが、はて来年の元旦はどうなるかな―。