再放送「検証 田中角栄 "総理の犯罪"」(BS11)

昨夜9時からBS11「INsideOUT」の再放送「検証 田中角栄 "総理の犯罪"」前編を観た。早野透元朝日新聞編集委員がゲストだったから。先日も書いた「田中角栄戦後日本の悲しき自画像」(2012年、中公新書)の著者だ。司会・二木啓孝BS11解説委員、元日刊ゲンダイニュース編集部長)、コメンテーター・松田喬和(毎日新聞論説委員)と中味の濃いやり取りを披露した。
 
早野氏は「田中番」記者を長く担当した。「そばに行くと圧力というか、それは政治家の器量でもあったのだが、強くそれを感じた。感情の振幅も桁外れに大きかった。角栄はあの高度成長時代の『上りの特急列車』だった。そういう意味では極めて分かりやすい人物だった。金権政治は犯罪ではあったが、もう少し他の面でも田中角栄という人間を見てほしいとも感じる」。
 
当時、官房秘書官だった藤井裕久は「田中さんは常々言っていた。佐藤や中曽根は東大を出ているので、黙っていても経団連とかに知り合いがいる。しかし、自分にはそれがないのだから、金は仕方ないのだ。私のような目下の者とも一対一でこういう本音の話をしていた」と述べていた。角栄は子どものころの同級生を大事にした。それ以上の同級生はいなかったからだ。今夜、後編が放映される。
 
早野氏の著書には、「角栄にとって人生はひたすら『具体』の積み重ねで、『抽象』ではなかった。『具体』に生きたことが政治家田中角栄の強みであり、弱みでもあった。角栄は変に肩肘を張った国家意識を持たなかった。しかし、出世するのにカネの威力に依存し過ぎたことは、『抽象』の価値を持たなかったことの弊だった」とある。「彼は背中を反って内外からの攻撃に耐えていた」(早野)。真実だろう。
 
箱根大学駅伝、映画「あなたへ」(高倉健、田中裕子)、年一回の家族全員での豪華手巻き寿司。ゆったりと過ごした一日だった。