悪夢から脱出

丑三つ時、ヌエのような得体の知れないものが悪い夢の中で自分の足を引きつけ、抱え込もうとしていた。「出たか、化け物!!」、まず足を振りほどいて膝を曲げた。蹴った。太い手は伸びてこなかった。撃退の言葉を思いつきで唱えて、「消えろ―」と叫んだ。2,3分の出来事で、数分後には再び眠りについた。朝6時過ぎまで久しぶりに熟睡した。
 
こんな不気味な体験は10数年前以来だ。仕事で軽井沢のホテルに泊まっていたときに、ベッドをグラグラ揺らされ、頭の方から顔に覆いかぶさってきた得体の知れないモノ(者)があった。その日は昼間から悪い予感がしていた。部屋にサンドイッチとコーヒーを持ってきてもらったホテルのサービスマン(中年)の顔つきや態度に明らかに異相を感じていた。
 
冷静に考えると、軽井沢も今回も、いずれも体調が悪い状態から治りかけた時だ。軽井沢の時は病み上がりの仕事だった。昨夜は、ここ10日間の体調不良の後だ。5日朝から寒気がしていたが、6日夕方から発熱。38.9度をピークに10日に平熱に下がった。しかし、微弱な体力から、さらに搾り取られた。さらに、10日から左目に違和感があり充血していた。
 
 三回の点滴で発熱は治まり、医師がくれた目薬で違和感もなくなった。昨夜はそんな状態だった。このところ良く眠れない日が続いていた。明らかに体調不良の気(け)が、このところ体に潜んでいたのだ。それがあの悪夢を引き起こしたが、もう終わった。今朝は久しぶりに体が軽く、スッキリと起きた。そういえば、ここ10日間笑っていなかったことに気づいた。