二人の先輩からの贈り物

   この週末、二人の先輩から郵便を受け取った。一人は元PR誌編集長・Mさん、もう一人はわたしの師匠ともいうべき歴史研究家のM先生だ。この二人には、20代後半から40代後半にかけて本当におせわになった。M編集長は70代後半に入ったはずだ。M先生はすでに82歳か83歳だ。
 
 M さんからは裏表とも手書きの年賀状で、真中に「元旦や 独り天井を 見ている」という句がある。自分の文体やスタイルに細かくこだわる人で、年賀状も気の向いた時に書いてくる。「体調不良と噂に聞きました。どうしましたか?元気モノの君とまた一杯やりたいものです。ガンバレ!」。昔、文章では喧嘩ばかりしていた。
 
 そのあとは彼の「行くぞ、Qちゃん」の一言で、飲み屋に直行して3,4時間も一緒に過ごした。最後は必ずカラオケの店に行き、子どもみたいにニコニコしながら歌っていた。この可愛さについ長居して、終電を逃したことは限りない。6,7年間仕事をしたが、取材で全国を飛び回った。これも後で自分の大きな財産になった。
 
 M先生は30冊ほどの著作がある。届いた新刊は「吉田松陰 誇りを持って生きる」(すばる舎、1600円)で、今月30日から発売される。40代まで出版社で編集長を経て、歴史研究家として独立した。徹底した資料研究から筆を進めるが、読者に分かりやすい表現が特徴だ。松陰のすべてが力強くこの一冊に凝縮されている。