マーくん、がんばれ!!

  やはりイチローはちょっと違う。「ヤンキースがどんなオファーをしたのかということよりも、このオファーを受けたことへの覚悟と自信に敬意が払われるべきだろう」。田中将大ヤンキース移籍についてのコメントだ。イチローが言う覚悟と自信とは、マー君の「(目標は?の質問に)世界一」と一言で答えたことにある。
 
 ヤンキースは田中を7年前から注目してきたという。「投資物件」として徹底的に調査したようだ。田中の昨シーズン成績24勝0敗が決定的な結論を打った。7年契約161億円の破格年棒が、ヤンキース側の投手補強の必要さをも示している。世界一のためだ。「背負えるものは背負うが、つぶれてしまうことだけはしたくない。金額で代わるわけじゃない」(田中)。
 
 田中将大はかつて所属していた兵庫・伊丹市の少年野球チームで捕手として、投手・坂本勇人(現・巨人内野手)とバッテリーを組んでいた。当時の指導者がテレビのインタビューで「田中よりも坂本の方が全然凄かった。全てを含めた野球の才能では比較にならないほどの違いがあった」と述べていた。確かに坂本も素晴らしい選手だ。さらに飛躍を望む。
 
 田中を全国区の人気者にしたのが、甲子園での駒大苫小牧高校の活躍だった。あのハンカチ王子斉藤佑樹(早稲田実業、現・日本ハム投手)との投げ合いは伝説になった。その敗戦から楽天入団へ、時の神様は田中を導いた。高校時代の恩師・香田誉史士監督、楽天野村克也監督と星野仙一監督が時々で田中の成長を促進させた。
 
 昨日の会見で、田中はいつもの半照れ笑顔を少しだけ見せながら、記者たちの質問に丁寧に答えた。あの表情で得をしている。庶民的なのだ。試合では死に物狂いの全力投球を最後まで見せる。少し前に彼が「気持ち」という言葉を使っていたが、その気迫にファンが感動したのだ。がんばれ、マーくん!! 春のセンバツ駒大苫小牧出場が有力だという。