浜文子さん(詩人・エッセイスト)

   昨夜、風呂上りに新聞の読み残しを眺めていた。朝日17面「子育て ?孫のフシギ」の記事後半に、記憶にある名前をみつけた。
 
 
 「子育てについての著作が多い、詩人でエッセイストの浜文子さんも『子育ては知識からボロボロこぼれることの連続。それを知っているのが祖父母世代』と話す」、『親が子をきつく叱ったら、愛するあまりなのだと子に伝えてあげてほしい。しつけに口出しするのではなく、両方を立てるフォロー役になって』と話す」。
 
 さきほど久喜市のH君に電話をして、浜さんのことをいくつか確認した。その昔、われわれ青年時代に同人誌「兆(きざし)」を6号(?)まで発行した。日高市の作家・F氏がリーダーでメンバーは5,6人だった。浜さんもいた。作家の卵は「芥川賞」をめざし、詩人の卵は「H氏賞」を狙う。そんな妄想で頭の中を充満させていた。
 
 浜さんの詩は当時から、自分と子どもの関係を深く見つめた独自の世界観を表現していた。そのあとライターとして腕を磨き、「育母論」という分野のオピニオンリーダーになっていった。私は尖っていたし、彼女も独特の誇りを持っていたので、お互いにあまりそりが合わなかった。ただ、作品はユニークで評価していた。
 
 かつて出版を手がけていたY氏に紹介して、同社からも詩集を出版した。その後、世に出て活躍が始まった。マスコミでも取り上げられ、講演もこなしているらしい。「兆」メンバーで最強の売れっ子になった。あの浜さんが孫の話を書いている。「兆」が停止して30年以上も経ったのだから、そうなってもおかしくないのだ―。