鰤(ぶり)しゃぶ

 帰りの車で「鰤(ぶり)しゃぶにしたから」と聞いて、喜んだ。骨の髄まで凍みそうな寒い昨日、出かける時に「(晩ご飯は)何か暖かいものにしてー」と頼んでおいた。昨年暮れに「正月用にどうぞ」と北海道積丹町の妹夫婦から、送ってきた鰤だった。半分はお正月に刺身で食べた。その残りの半身が冷凍してあったのだ。
 
 さっそくカセットコンロで「鰤しゃぶ」が用意された。トロと中トロにあたる部分なのでさっと鍋の出汁(だし)にくぐらせたら、少し脂が落ちてスウッーと喉を通っていった。昆布を敷いた上に大根、白菜、深谷ネギ、ニンジン、エノキと野菜も入れながら贅沢感を楽しんだ。去年は二回届き、塩焼き、照り焼き、ブリ大根も作った。
 
 「寒い冬こそ大根が甘くなる。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富」と雑誌で読んだ。その記事には「芝居の下手な役者を『大根役者』というが、大根は消化酵素が多く、たくさん食べてもあたらない。つまり「当たらない役者」にかけている」との説も…。食卓には「大根と柚子の酢漬け」もあった。籤(くじ)には当たらないな?!
 
  鰤は出世魚で成長につれ名前が変わる。母はブリの小さいのを「フクラギ」と呼んだ。それらが手に入ると食卓が豪華になった。かつて山口県長門市で詩人・金子みすゞ記念館の後に、青海島のハマチ養殖場に案内された。大規模なもので、ハマチ料理を堪能した。鰤の稚魚を短期育成したものをハマチと呼ぶそうだ。