「都知事選」雑感

  45年ぶりの大雪に、「風」は逆風になった。マスコミ予想通り、舛添氏の圧勝に終わった。細川・小泉連合は「逆風」に何一つ盛り上がりがないまま惨敗した。切り札すらなかった。宇都宮、田母神両氏は予想以上の健闘。自らの投票が選挙結果になんら反映しないと判断した有権者は、投票所に行くのを止めた。大雪でなくても、舛添氏の勝利は変わらなかったろう。
 
 それにしても、細川氏の選挙戦はだんだん都民を失望させた。20年前に首相の座を投げ出して隠遁生活にはいり、今はただの『カッコつき文化人、はだかの殿様』だと暴露した。取り巻きが悪すぎるし、本人の勘違いにもほどがある。「脱原発」コンセプトの選挙戦略が粗雑過ぎた。カリスマ性を失った、体の弱そうな老人に都民の視線は冷たかった。
 
 宇都宮氏は予想以上に票を集めた。都民の生活実態を把握した政策を繰り返して述べ、それなりの工夫も凝らしたのが実を結んだ。個人的支持者の獲得と共産党の勢力拡大路線の組み合わせで、存在感を示した。田母神氏も実績を残した。彼の徹底した都民への公約は明快で分かりやすかった。若者の支持はその一点にある。世間に名を残した。
 
 小泉氏が果たした役割は、中途半端なものだった。選挙戦途中からあの迫力が見る者の胸に刺さらなくなっていった。本人も細川氏も自らの「時代オンチ」がここまで進んでいるとは予想できなかった。応援に行けば細川が霞み、行かなければ自分が霞むジレンマの中で最後まで吹っ切れなかった。小泉の「敗戦コメント」は素っ気ないものだった。