ホッケの飯寿司

 妹夫婦から届いたニシンの荷物に、「ホッケの飯寿司」が入っていた。「いいねぇ」、さっそく昨晩のおかずにした。ホッケの飯寿司は鮭やハタハタに比べ、地味に映る。しかし、一口食べれば分かるが、ホッケの身のほのかな甘味と上品な噛み応えは一級品だ。塩具合が決め手で、妹の漬け方は母の味と同じだ。
 
 昔ホッケは簡単に手に入ったので、母は飯寿司を毎年つくった。その時、ハタハタを一箱買ってきて、ハタハタの飯寿司も同時につくった。塩分と置き場所を調整して、発酵の時期を若干ずらした。こうした生活の知恵はなるほどと思う。ニンジンとショウガの刻みが必ず入っていた。発酵食であり、ショウガは体を温める。
 
  上京してまもなくの約40年前に、母から電話で「ホッケの飯寿司を送ってみるから」との連絡。こちらは暖かいので漬かり具合を計算して送ると言った。4日目に飯寿司は届いた。案の定、今が食べ時だった。量が多いので残りを冷蔵庫に入れて保存したが、2日しかもたなかった。3日目には味が変わって美味しくなかった。
 
 母も含めて昔の人は食物は多めにつくった。実際、みんな大量に食べたのだ。弁当のおかずに入っていたこともあった。昨日の夕食時に少し発酵したホッケを食べながら、吹雪の故郷を思い出していた。今朝の読売2面に「余市町も『過疎地域』に認定へ」との記事が出ていた。飯寿司の漬け手も次第に少なくなっていく。