小池英文写真展「生命のめぐる海辺」

 先日、新宿高野ビル4F・コニカミノルタプラザで開催中の「小池英文写真展」を覘いた。「生命のめぐる海辺 After The Flood Ⅱ」のタイトルで、「日常の向こうに流れるもうひとつの大きな時間。そのめぐりの中に暮らし、死に、産まれてくる人々の姿は、とうに生も死もなく穏やかでした」(ポストカードの言葉)。
 友人のMさんがこの写真展を知らせてくれた。かなり以前にMさんが小池さんの本の出版担当だったことから、小生にもこの本が送られてきた。インドや東南アジアを舞台にした紀行+小説+詩+エッセイのような写真と文章で、独特の混沌とした世界を表現していた。本人には今回、初めてお会いした。
 
 「ぼくにとって異界と日常を越境する写真家の筆頭は、先日亡くなった深瀬昌久氏だ。5年ほど前にラットホールギャラリーで見た『鴉』の展示はまさに戦慄的だった。われわれが生きる日常社会とは生者だけで構成されているわけではない。死がしのび込んでくる静けさのなかに人々の営みは存在しているのである。『生』と『死』が別の次元ではなく、同じ時間のなかに交錯していることをその写真群は語っていた」(小池氏ブログから)。
 
   写真家に見えるものは、自分のような者には見えない。見えないが、何か非日常を感じさせる。小池氏は「日常も非日常も同じく包含される世界があり、それを撮りたいのだ」と語っているようだ。3/25~4/3まで。