捕鯨裁判完敗の影響を懸念

   今日は鯨のことを書こうと何回か試みたが、こんな時間になった。南極海での調査捕鯨が中止になった。国際司法裁判所の判決だ。とてつもない無力感を覚える。二十代の頃、日本捕鯨協会の広報活動をわずかな期間だがお手伝いした。現在、食糧問題ジャーナリストして活躍している梅崎義人氏が上司だった。
 
 梅崎さんとの交流は現在まで続いている。憲政会館や新宿・樽一などで行われた「鯨を食べる会」にも何回も参加した。刺身や酢味噌、ハリハリ鍋で食べ、辛口の日本酒を飲んだものだ。「鯨は日本の食文化だ」が梅崎さんの持論で、小泉武夫東京農大教授を会長とする強力なオピニオングループを作った。
 
 現場での取材を第一とする梅崎さんは、調査捕鯨船にも乗り込んでいかに大量にアジやサンマを鯨が食っているかを確認した。会うたびに取材の成果を話してくれた。自分にとって鯨問題は大事なのだ。もちろん、子どものころ食べた鯨ベーコンの味も懐かしい。ときどき居酒屋でメニューにあるとつい頼んでしまう。
 
 無力感を感じる、と書いた。最近、国際論争でわが国の劣勢が続く。この負け癖が国民の無力感・無関心につながらないようにと願う。政治家も官僚も「戦略的」とよく使うが、言葉だけではなくて実効面で成果を挙げてほしい。一言、今回の捕鯨判決がわが国の将来の食糧問題に悪い影響を与えないように注視しよう。