駒込駅のツツジ

 ピンクに白い縁取りのツツジが春の紫外線を浴びて輝いている。右横のチューリップは大きな花びらが弛み加減になり、終りを告げている。フリージアは黄色を目いっぱい濃厚に押し出している。季節は充分に春から初夏への兆しだ。ツツジを見ながら、思い出している。上京してきた年、駒込駅ツツジに目を奪われた。
 
山手線のホームが赤やピンクのツツジで埋まっていた。錯覚ではなかった。入社してすぐ西武線江古田駅近くのアパートに住んだ。現在の東京メトロ有楽町線小竹向原駅のすぐ側だ。江古田駅から池袋駅に出て、山手線に乗り換え新橋の会社に通い始めた。新入りの緊張感をツツジの色が朝は暖かく、夜は癒してくれた。
 
入社29日目の「天皇誕生日」に結婚した。新入りの結婚に、会社の多くの人からさまざまな好奇心で見られた。年が近い先輩たちは笑いながら歓迎してくれた。大阪万博で活躍した女性がリーダーのセクションに配属された。この会社はすでに男女の区別がほとんどなかった。女性の仕事師たちが活躍し始めた時期だった。
 
PR=パブリックリレーションズの仕事?! さっぱり検討つかなかった。ツツジの時期になって、さまざまな業界出身の人たちが個性的に活動していることがわかった。ようやく都内の指示場所に行けるようになってきた。4月後半、早朝勉強会で「文章の書き方」を習っていた。一週間後に駒込駅反対側土手のツツジが満開になった。