においへの無自覚→認知症

   昨晩、雑誌を流し読みしていたら、「においへの無関心」という記事に目が止まった。「自分が発しているにおいを周囲がどう感じているのか分からなくなった時、すでに認知症が始まっているかもしれない」との内容だ。においで他人に迷惑をかけている―「かけていない」という人ほど危ない。
 
 「新幹線で朝から柿ピーをつまみにビールを飲む中年男性、香水を必要以上につけている中年女性には鼻をつまみたくなる」と具体例を挙げていた。あるある。いずれも「中年」で、われわれもその範疇に含まれる。においへの無自覚が認知症の兆しなのだと指摘している。
 
 先日、呼吸器外来の待合ロビーにいたら、隣に「中年の女性」が座った。服装がやや派手目の色使いで「来ないでくれ!」と願ったがダメだった。見た目のバランスの悪さどおり、ひどい香水の臭い(匂い、香りでなく)がツーンと来た。鼻が慣れる一分間、バカタレ!!と天井を見上げた。
 
 一方、ウナギや焼き鳥の誘惑には完敗してしまう。あの匂いの素はタレだ。認知症防止には感覚器官を磨くことだという。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を刺激する。鼻から吸い込まれる匂いは舌よりも敏感だともいう。嗅覚は己の特別な感情を蘇えさせる。旧友連中との暑気払い時期になった。