線香花火

「花火はふつう人と人の距離を離すが、線香花火は人と人の距離を縮める」。先日テレビで手持ち花火職人が話していた。うまいことを言う。あのパチパチが長持ちするように特別の和紙で、松脂や火薬を少しだけ巻くのがコツだそうだ。一時、中国製に圧倒されたが、特別品質の線香花火でふたたび注目されている。ただ、優雅さの値段は3,000円ほどするとか!?
 
  「手花火のこころの中に散るごとし、25歳で他界した昭和の俳人・川口重美の句にある。空を仰ぐ打ち上げ花火とは違って、うつむいて眺めるせいかもしれない。線香花火にはたしかに、人を追想に誘う風情がある」。今朝の読売「編集手帳」はそう書いている。8月は広島と長崎の原爆忌があり、〈火〉の記憶につながっているとも記している。
 
 人の命が線香花火だったら、もう少しだけパチパチしたい。今月半ばには家族が集まってくるだろう。花火を買ってきてローソクを点し、バケツに水を入れて横に置く。20分ほどの時間だが、毎年続いている。今年はいつもよりほんの少しだけ高い花火を買ってきて、みんなで「おォ~!!」と驚こう。幼児たちが喜ぶから。記憶の継承になるかは不明だが??