「スーパームーン」

 「あのオレンジ色の観覧車みたいのはなんだ?」。昨夕、病院3階待合ロビーの窓から見える光る大輪に目を奪われた。遠くのマンションの横で、煌(きら)びやかに輝いている。「スーパームーン」のことは知っていたが、あれがそれだとはすぐに気づかなかった。大き過ぎる。
 
 10分ほど視ていた。ゆっくりと地平線から姿を現したところで黒い雲に飲み込まれた。夜11時過ぎに家人が外に出て、「見てきたよ。Tから電話があったから」。Tは小六で現在、天体にとても興味をもっている。自分も出て家の前の道路から雲間に輝く満月を眺めた。
 
 夕方の月よりは一回り小さくて、色も違って白っぽい黄金色だった。たしかに普段見る月よりはあきらかに大きい。月と地球の距離はそのように近いのだと思った。昨夜の月はルナティックではなかった。古来、月のイメージは狂気、魔界など異次元の世界だ。月を「太陰」とも呼ぶ。