「氷下魚(コマイ)」

   「カンカイ」って魚、分かりますか? コマイといえば「あぁ、あれか」とイメージできるかも。タラ科の魚で、いずれもアイヌ語からきている。真ダラやスケソウダラよりも小振りで、「氷下魚」と書く。北海道のオホーツク沿岸や太平洋沿岸で獲れる。
 
 コマイの一夜干しを家人がスーパーで買ってきた。さっそく焼いて食べた。コマイはふつう完全乾燥させてガチガチに硬くしたものをいう。石ころや金槌で叩いて身をほぐして食べる。北海道では昔から酒のつまみに重宝されていた。味がなかなか魚くさいのだ。
 
 その一夜干しは4尾入っていたので、2尾ずつ食べた。大きいハタハタぐらいだが、一夜干しなので身がふっくらしていてコクがあった。タラ科の魚は傷むのが早く臭いがつきやすい。どの家も食べきれないものは軒下に5、6尾ずつ束ねてぶら下げて乾燥させた。
 
 雪解けに屋根に上り、お日様の下でかじるスケソウダラの旨さは至福のときだった。中学の時にテストが終わったらスケソウをもってハシゴを駆け上った。あの解放感は二度と味わえない。故郷・古平町ではカンカイはあまり獲れなかったが、その味はとても懐かしい。