「マッサン、寿屋(サントリー)入社」

札幌のKくんが連載している「ウイスキー純愛物語」(4回目)のタイトルが上手い。「水を得たマッサン」。今回も充実している。いよいよNHK朝ドラ放映が真近だ。札幌や余市でも観光PRが本格化しているという。
 
 竹鶴政孝1923年(大正12年)春に寿屋(サントリー)に入社。10年契約、年俸4,000円。当時の総理大臣をしのぐほどの破格の厚遇だった。鳥井信次郎の類稀な商魂の表れでもある。Kくんの取材は鋭い。鳥井のビジョンをビジネスに具現化する力は、群を抜いている。
 
 「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」、この信次郎の言葉はサントリーの理念であり、いまだに継承されている。佐治信忠会長兼社長による新浪剛史次期社長の登用も、鳥井信次郎の理念が生きていることを示している。何かは確実に変革するからだ。
 
 竹鶴はウイスキー工場の候補地としてまず北海道を進言した。これに対して信次郎は「消費地に近く、多くの見学が来れる所に限る」と釘を刺した。水に恵まれた山崎の地に工場が建設された。竹鶴も竹鶴なら、鳥井も鳥井である。サントリーの優れたマーケティングの基がある。
 
  同年9月1日、関東大震災が勃発した。鳥井は赤玉ポートワイン、ヘルメスウイスキーなどを大量に船で運び、東京で売りさばいて巨額の利益をあげた。サントリーの商売上手とよくいわれるが、金の注ぎ時の確かさと執拗さは他社の追隋を許さない。乞う、次回。(*下線はword不調です。意味はありません)