退院、ブログ再開します

   激しい腹痛で入院していたが、昨日退院した。ジャスト2週間だった。ほぼ5日間の食事禁止のあと、胃カメラをやったが「胃や十二指腸にガンや潰瘍はありません。多少胃が荒れていますが、以前の検査時よりは悪くないです」。結局、病名は「慢性胃炎」。あの絞り上げる胃痛の繰り返しとそれによる体力の壊滅的な低下はナンダッタンダロー???

  退院前日、ナースステーション横のロビーにあった古い週刊誌、「週刊文春」10月9日号を手に取った。活字を読むのは久しぶりだった。池澤夏樹による「私の読書日記」に「解剖学個人教授」(養老孟司南伸坊河出文庫)が取り上げられていた。わたしは南伸坊の自由で洒脱な文章が好きだ。彼の頭の柔軟さは類を見なく、好奇心にあふれている。
 
 養老孟司の叡智とシンボーワールドを組み合わせたこの本は9月下旬に発売された。池澤氏は「ベタ褒め」している。結びは「この二人を孔子子路に見立ててみようか」とまで、筆を躍らせている。これを読んで「作家が書評を書くのは大変だなあ」と勝手に思ってしまった。わたしも本屋で発売後すぐ買った。二人のやり取りに期待してワクワク帰宅した。
 
 ―ところがである。まったく面白くない。養老氏の思考を南氏が解説するのだが、シンボー節がまったく生きていない。死んでいる。読み終えるまで5日間もかかってしまった。買ったのが失敗だった。皮肉を含めて、池澤氏の理解力と大人の対処に感心した。これまで彼の作品を少しだが読んできて、共感していた。彼の小説の静謐な筆運びは依然好みだ。