「あざとい」と「男がほれる」

  各紙一面に安倍首相と、高倉健の大きな顔写真が並んでいる。「あざとい解散」と「男がほれる」。そんな見方が報じられている。
 
 昨夜のNHKニュースウオッチ9」に出演した安倍氏が、こんな発言をした。「米国のノーベル賞受賞教授は、消費増税は見送るべきだ、と助言してくれた」。では今回の有識者「点検会合」は何だったのか? 45人のうち31人が増税に賛成だった。
 
 TVカメラにアップされた首相の顔は、アベノミクスの良い点だけを列挙することで目一杯だった。論理的にはいくつもの自己矛盾を抱えていたので、力説したが自分にはピンと来なかった。言葉はその人特有の「間」によって語られ、真実が伝わる。安倍氏の説明は平板で、間がない。そんなメッセージは空虚に聞こえる。
 
 皮肉なもので、高倉健さんと並べられてしまった。昭和の残像を抱えながら健さんは旅立った。広末涼子さんの「大きな体…」コメントが気になって、健さんの身長を調べたら180㎝だった。彼より少し低いが、同年代の叔父を思った。ハンサムで言葉は少ない、漁師一筋だ。叔父なりの男の優しさは行くたびに確認できる。