北国、暴風雪

 夜に届いた宅急便には刺身用生イカイカの一夜干し、小鯵の酢の物、キノコ類が入っていた。イカ、タコ好きなわが家は感動。北海道積丹町の妹夫婦にさっそくお礼の電話を入れた。妹の声のテンションがいつもより少し高めの気がした。
 
 その後、TV画面には日本海側各地の暴風雪が相次いだ。妹の声の原因は「これだ」と感じた。留萌、小樽、余市など激しい吹雪が映った。「来るべきものが来た」と話す主婦の顔には、一つの決意があきらかに感じられた。真冬との対峙だ。
 
 今朝、妹に電話をかけなおして模様を聞いた。「さっきまで雪かきをしていた。まだ15~20cmぐらいだが、湿り気の多い雪なので重くて難儀する。でもこんなもんだ」、60過ぎの体にはキツイ。「イカもアジもダイボ網(定置網)にかかった」とも。
 
 ここ埼玉からは「北国の冬は少しでも穏やかにあれ」と祈るばかりだ。だが、現地ではそんな願いよりも一日一日を暮らすために、厳冬と戦っていく。春までの長期戦に向けて気合を入れ、魂を冬向けモードに切り替えた。妹の声にそう感じた。
 
 北国の年の瀬は真冬入りを意味する。風雪の中で日々の喜びを見つけながら暮らす。自分は40数年間、雪とは無縁に過ごしてきた。故郷の弟妹とのやり取りが一時でも暖かな気遣いになれば。今夜、イカは身と心を温めるショウガで食べる。