「中国外交の重心、東から西へ」

手元に1枚のペーパーがある。陳 言氏(ジャーナリスト、日本企業(中国)研究院執行院長)による「確認された『不戦』とメディアの相互信頼」のタイトル。新聞通信調査会が12月2日に開催したシンポジウム「アジアの平和とメディアの役割」で配布されたもの。要点は以下のとおり。
 
 『11月10日の北京・APECの中で習・安倍首脳会談が実現し、4つの事項で合意した。4年にわたる両国間のさまざまな闘いはあったが、事実上「不戦」という共同認識に達した。それが現在、中日関係の最低ラインとなった。今後の中日関係発展に非常に重要になる。中国が軍事力の現代化を推進し、日本は集団的自衛権を解禁したことを背景として、両国は「不戦」という共同認識をさらに確認すべきだ。東アジア、世界の平和につながる。
 
 中国の従来の改革開放は東に対する開放だった。日本から技術を導入し、米国に輸出を増加させて経済大国の地位を手に入れた。習近平共産党総書記、国家主席に就任してから、中国は新たな改革開放を進めている。「一帯一路」構想の推進だ。一帯=陸路はシルクロード経済帯、一路=海路は21世紀海上シルクロード。近隣外交を中核に西に進んでいる。
 
これからユーラシア大陸およびアジア太平洋という二つの経済圏で、要衝とベルトコンベアという二つの役割を果たす。外交重心も東部から中西部に移るようになる。そうなれば西太平洋地域における闘いと競争の激しさも減少していくことになるだろう。これはさらに中日の「不戦」を保障していくと思われる。
 
また、重要なのは中日のメディアの相互理解だ。「日本経済万年失われる論」や「中国崩壊論」はいずれも現実離れの空論であり、妨げである。相互理解をもたなければ相互信頼にはならない。戦略的互恵関係もつくれない。まずはメディアの相互理解から始めよう』
 
こうした内容だ。中国の「一帯一路」戦略は内陸の辺境地域、中近東、アフリカ、オーストラリアなどに向う。経済成長を持続するために資源を確保し、市場を獲得するのが狙いであることは間違いない。今後、日本にどう対応してくるか注視する必要がある。