「ゴーストライター」
「りんご、剥いて頂戴」―ドラマ初回、終盤で売れっ子作家(中谷美紀)がアシスタント(水川あさみ)にそう言う。もってきたリンゴを作家はフォークに刺して口に入れる。この場面が今後のドラマ展開のトリガー(引金)だ。作家は禁じられている「善悪の知識の木」(創世記2章17節)の果実を食べた。ここから罪を犯すイヴになる。
次回からアシスタントが作家の原稿を代筆するゴーストライターに変身するだろう。その愛憎と駆け引きの微妙な演技に期待する。このドラマは昨年の佐村河内守ゴーストライター事件をあきらかに意識している。作家のゴーストライター説も業界ではよく語られる。
昨夜スタートしたこのフジテレビ・ドラマ「ゴーストライター」。冒頭から流行作家とゴーストライターの関係破綻が露呈されている。生々しいオープニングだ。出版=ビジネスのリアルな現実がさらに誇張されて露出するだろう。神に追われたイヴとアダムは我々の姿でもある。