「さくら葉」と「わくら葉」

   昨日の晩ご飯のデザートは、「松崎銘菓・さくら葉餅」だった。家人が隣の奥様からいただいた。パッケージにも生菓子の包装にも薄いピンクが上手に使われていて、手の上に春を広げたような気分になった。「もうさくら餅の季節なんだ!!」と一人でつぶやいた。シールを見たら、製造者は静岡県松崎町桜田の梅月園とあった。
 
 「松崎町特産の塩漬けの桜葉を2枚使用しています」と書いてある。包装を開いたら、桜葉塩漬け独特の香りがあざやかに鼻腔にあいさつした。口に入れたら上下2枚の桜葉の塩按配と上品な甘さの練餡がベストマッチ。埼玉にも近く訪れる穏やかな春を予感させた。松崎町は桜葉の生産が全国シェアの7割を占めるそうだ。
 
 「桜葉漬の材料は大島桜でなくてはならない、葉の裏側に産毛が無いから」と生産者はいう。松崎町は雪が降らないので栽培に適している。「不思議なことに松崎付近のものでなければ桜葉を塩漬けにしても、あの色と香りは出せない」そうだ。香りの成分である「クマリン」が多く含まれているので、地場産業として発展した。
 
 突然だが、「さくら葉」から「病(わくら)葉」に連想が飛んだ。川崎の中1殺人事件だ。「病葉を 今日も浮かべて 街の谷 川は流れる」。昔聞いた仲宗根美樹の声。すさまじい歌詞だ。都会の闇のヒズミが少年の世界まで重く覆っている。「公然と」悪業が行われた。18歳容疑者の弁護士付き出頭には驚いた。社会が傷んでいる。